最近ではLEDのランタンが主流になってきているけれど、あえて電力をつかわないアナログな灯油のランタンをご紹介します。
たき火と同じく、火のゆらぎが心地いいのはランタンも同じ。
キャンプには、LEDのランタンと、灯油のランタンの両方を持っていきます。
断捨離(だんしゃり)とか言って、ずいぶんとモノを減らしたけれど、なんだかキャンプでは荷物が多いのはぜだろう。
ミニマリストと言うにはまだまだだなぁ。
楽しむという要素もライフスタイルの中には必要で、ほどよいミニマリストを目指しているからいいのだ。と言い聞かせつつも、じっさいは、モノとの決別ができていないのは自分でもわかっているつもり。
このランタンを捨てようと思ったときは2回ある。
1回目は、芯を巻すぎて、灯油タンクの中に入り込み、もう使えないと思ったとき。
ベゼルの根元の部分を時計回りにスライドさせると、かんたんに芯が変えられるということを、なんとなくさわっているときに発見して、ことなきを得た。
2回目は、引越しのときに捨てようかと迷ったのだけれど、キャンプで使ったこれまでの楽しさを思い出して手放せなかった。
もともと、このランタンはというと、キャンプをまだ体験したことがないときに、カタログギフトかなにかで手に入れた。
あのとき、どういう気持ちで、灯油のランタンを選んだかは記憶がない。
たぶん、キャンプへのあこがれもあっただろうし、ランタンのデザインも気に入ったからだと思う。
なんとなく、定番っぽいかたちと、美しいフォルムにビビッときたのだろうな。
そもそも、定番もなにもしらないから、あくまでもイメージだけれど。
それを、今ではきちんと灯油ランタンをキャンプで使っている。
注文してから家にとどくまで、ランタンの実物すら見たことがなかった。
今では、あまりそういう買い方や、注文のしかたはしないのだが、なぜだろう。
ものを受け取ってから、想像以上に軽く大きかったので、ギャップにビックリした。
質感はというと、正直、チープな感じ。
こんなので、明るくなるのか?と不思議だったけれど、ストーブに使う灯油があまっていたので、シュポシュポ灯油を入れて、明かりを灯してみた。
ほんのりと明るいランプの火を見て、始めていいものだと気付いた。
そんなに、高いモノではないけれど、ろうそくの灯りのようにゆらゆらゆれる炎を、しっかりとガラスがつつみこんで、そこそこの風では消えない安心感がこのランタンにはある。
火のつけ方はかんたんだけれど、最初に芯をだしすぎると、灯油の匂いと黒いけむりがもくもくでる。
それを防ぐために、ベゼルを回して炎を調節する。
これだけでも、明るさが変わるので、おもしろい。
アナログの一眼レフにフィルムをセットするような感じであったり、レトロな単気筒のバイクにチョークの調節をしてエンジンをかけるような感じがして、火をつけるだけでも楽しい。
このランタンの出番は、バーベキューのときだけではない。
ひととおりバーベキューがおわり、子どもたちも寝静まったころに、この灯油のランタンをテーブルの真ん中におき、酒をのむのがここちいい。
たき火が消えたうす明かりの中、スモークされたチーズをかじりながら、安物のプラスチックのコップにワインを入れてのむ。
大自然の中で食していると、野生のシカやイノシシにでもなったような気分で、しずかにワクワクしている。
ランタンはふだん、なかなかキャンプに行けないのでオブジェとしてかざっている。
いちどだけホームパーティーをするときに、玄関のライトはいっさいつけず、この灯油のランタンに火をともし、ポストの下にぶらさげて客人をむかえた。
気づいた人は1人だけだったけれど、ひそかにそんな粋なことをしている自分が好きだったり。
夜にリビングで灯せばシャレたバーのような、ふんいきがでる。
灯油と火を使っているので、注意しなければならないけれど。
「火があるから、酒をのむ」と、勝手な言いわけをして、灯油ランタンの炎をながめながら、夫婦語り合のもいいかもしれない。